新しいスマホが発表されるたびにソワソワしてしまうのが現代人のサガだと思う。ある調査で、iPhoneの故障率が一番あがるのがiPhone新機種発表日の付近らしい。皆が図ったかのようにスマホを手から滑らせてしまうのだ。研究者によれば、それは無意識に新しいスマホを買い替えたいという、深層心理が働いているのではないかという予想がなされている。毎年10万15万の対価を支払ってまでも、新機種が欲しくなってしまう。まさに現代人はスマホの奴隷かつ情報の奴隷である。
だが、いくら新デバイスを入手したところで、その当人のアンテナが変化しなければほとんど意味が無いと思うのだ。たとえば、本を読む習慣のなかった者が、スマホを変更したところで、とつぜん本を読むようにはならない。買い換えるという行為と、その結果には直接的因果関係がないからだ。新しい道具を手に入れることで、我々はどこか新しい自分像に期待してしまいがちだ。
当然のことながら、新しい道具を手に入れることと、新しい自分を手に入れることは同義ではない。高機能なスマホであってもそれを使いこなせなければ、しょせん高級な文鎮にすぎない。人生を変えるほどの意識改革は、スマホから得られるバーチャルな体験では生じず、己の肉眼から得られる直接体験からでしか生じないのだと思う。