書くザトウクジラ

人類の幸せから、仕事の愚痴まで。

「本当にやりたいこと」と100回書いてみる

 

 人は皆、人生を変えるほどの本当にやりたいことに出会ってみたいと思っている。

 

 しかし、現実はそれほど甘くない。そんな電撃出会いが頻繁に皆にあれば、人類間の出世競争はますます激しさを増すだろう。皆がワンピースの主人公みたいに覚醒できてしまえば、求められる全体のレベルがおのずと底上げされ、そのぶん多大な努力が必要とされ「しんどい」からである。

 

 だから、本当にやりたいことに出会えた人というのは、まあ選ばれた人なんだろうくらいに斜に構えておくほうが精神衛生上もよろしいだろう。

 

 本当にやりたいことができて、かつその中で成功している人などほんの一握りだ。それに比べて、本当にやりたいことを発見できていない自分は、まあいわば人間の普通の状態なのだ。きっとこの世は、だましだまし日常を送っているような普通の人間のほうが多数派なのである。

 

 だが、そのほんの手掛かりだけでも掴みたいというご要望もあるだろう。そういうとき私は思い切って、「本当にやりたいこと」と文字そのものをバカみたいに紙に手書きしていく。ただひたすら気が落ち着くまで。重要なのは手書きすること。スマホで書いてもそれは書くとは言わず、一連の入力作業でしかなく、さらに一度作った文字は予測変換化されるためそれで人はラクをしてしまうからである。

 

" 本当にやりたいことは予測変換などされてはいけないのである "

 

 それにしても、「本当にやりたいこと」とただ書いていくなど暴論とお思いだろうか。実はこれがそうでもないのだ。「本当にやりたいこと」と書いている最中と、さらに一通り書き終えたとき。このとき、うっすらと頭の奥で「本当にやりたいこと」が見えてくるから不思議だ。

 

 それは具体的なイメージとなって、ふわふわ浮かんでいる。その雲を掴んでからが、本当にやりたいことと向きあう、ジブンとの本当の勝負の始まりなのだ。