書くザトウクジラ

人類の幸せから、仕事の愚痴まで。

毎日何者かになろうとしている

 

今日こそは今日こそはと意気込む。今日こそは最高の有意義な一日を送ろうと決意する。うわべの思いなので数十分でいつも瓦解する。気がつけば他者の消費コンテンツに入り浸っている。目の前にラップのかかってないショートケーキがあれば舌舐めずりをして口に運びたくなるもの。目の前にショートケーキがあるという状況が常時実現された世界に現代人は住む。人生の最終日のように大切に過ごす、それが心から実現する日はいつになるだろうか。毎日何者かになろうとしている者は、毎日何者にもなれていない者である。自分のやりたいことすら見つけられずそれを達成できずにいる者はもはや「自分」ですらない。迷うことすらない、ただ自堕落なほうへ。ただ欲望のままに。楽しければ現実など見なくていいのか?そこそこ幸せならそれでいいのか?決まった時間に起床して決まった時間に帰宅する。しごく簡単なこと。必要十分な生活は誰も傷つけることはない。それどころか長生きすらできるだろう。ただそこにあるのは何者にもなれないという事実だけ。ただ黒スーツに身を包み、ただ特定の決められた立場に居座るだけ。ここに命あるということ、自分が人間として生まれ呼吸をしていること、こうした奇跡に目を瞑るな。他者でなく己と向きあい命を使い切れ。とにかく模索しつづけろ。何者にもなれない者が何者かになるための旅を人生といい、その手段を奇跡という。