書くザトウクジラ

人類の幸せから、仕事の愚痴まで。

今の悩みは過去の人々が考え尽くしたものである

 

 たとえば人間関係なんて、歴史上最も考えられてきた問題ではなかろうか。当時も現代と同じように悩んでいた。

 

 ただし、例外として、まさに現代になって初めて直面している新型ウイルスの脅威といったあたらしい問題も数多くある。だからといって、過去にまったく前例がなかったといって、諦めることはない。

 

 今度はそれと類似した歴史を探せばいいのだ。カミュのペストが一時期売れたように。人は本能的に歴史にたよる。たとえそれが小説の中の出来事であろうと。

 

 問題そのものを解決できなくとも、類似した境遇で悩みにぶち当たったとき、人々はどういう振る舞いをすればいいか、どういう気持ちだったのか、思いを馳せるだけでもいい。結果的に解決に結びつかなくとも、私達だけではないのだという安心感、独りじゃないのだという充足感も得られる。

 

 これが、唯一、現実にないことを想像することができる生き物=人間の特殊能力だ。なんの根拠のないことでも、希望だけで乗り越えられる。そんな芸当ができるのは人間だけだ。

 

今の自分の悩みはすでに過去の人々により考え尽くされたもの。これを押さえておくだけでも、シンプルに心強く、なんだか人類すべてを味方につけてしまったような超人感がある。