書くザトウクジラ

人類の幸せから、仕事の愚痴まで。

あの日、僕らの合言葉はスマブラだった。

 

 小学4年生のとき、学童野球の帰りに友達の家によく潜り込んだ。門限は6時。その子の家から、僕の家まではどれだけ急いでも15分はかかる。だから17時45分まで必死に遊んだ。あともう一回、もう一回だけと。ギリギリまで何度も何度もぼくたちは対戦をした。それは時にスマブラ、時にポケモンであった。

 

 中学生になれば、合言葉はモンハンに変わった。モンハンをやるために貯金していた全財産とお年玉をPSPの購入代金に充てた。これは社会人になっても未だに鮮明に思い出す、史上トップ5に入る記念すべき象徴的買い物だった。門限も緩くなり、暗がりになるまでPSPを必死に持ち寄った。PSPは画面が発光するので、暗がりでも全然へっちゃらだ。

 

 高校生からはジャンプが合言葉になった。主にワンピースの会話が増えた。先の読めない展開に毎週ワクワクしていた。全能感の強い各キャラに非常な憧れをもった。そして、こっそり読んでいたToLOVEるも僕の中では良い思い出だ。それを、ToLOVEるが掲載されていたジャンプを、ソファ下に隠していて、妹に読まれてしまい(本当に読まれたかは実際分からないのだがとにかく思春期真っ只中の当時の僕は焦っていた)、激しく怒鳴ってしまったことに未だに後悔がある。未だに謝罪もできていない。これは思い出にしたくない。必ず謝罪する。

 

 

 ともあれ色々あったが、今の合言葉はどうだ。自己啓発、ビジネス、自己肯定感、ストレス耐性、将来への不安。今の私の脳にぷかぷか浮かぶもの。ただ生きることしかできていない私。ただ生きることに必死な私。日々に追われ余裕のない私。あの頃の自由な「僕」の心は何処へ。生きることそっちのけでただ今を楽しむ僕と、生きることに執着する私。なんの事はない、道半ばのただのアラサーリーマンのつぶやきだ。