書くザトウクジラ

人類の幸せから、仕事の愚痴まで。

自己啓発本は眠くなる

 

 昨今「〇〇大全」とか「〇〇図鑑」とか「今すぐやるべきこと100」みたいな本が目につく。それはある種、自分のやりたいことが一通り載っている完全版のような本を皆が好む傾向にあるということだ。一冊の完全版は、未来の新しい輝かしい自分像を容易に思い浮かべさせるには十分である。

 

 いつもまんまと乗っかる私のように、次こそ変われるのだと心底信じ、ついまだ見ぬ自己啓発本に手を伸ばす。土台がふらついているのだ。新しいものに飛びつき、現在の悩み等をいったん遠くへ追いやろうとしている。ある人の話で聞いたのは、普通のサラリーマンがただポジティブになるためだけに、女性向けの美容雑誌を購読しているということだ。確かに女性雑誌には、「誰でも美ボディ」とか「みんなに愛され肌」「かわいいはつくれる」とか夢のような謳い文句が並ぶ。ネガティブワードは無い

 

 美容雑誌なら健康面でも好影響であるし将来につながるが、似通った内容のごまんとある自己啓発本はいよいよ救いがない。同じことを吸収しすぎても、結局疲弊し行き詰まってしまうだろう。なにより脳が全力で飽きる。

 

 だからどうしても、自己啓発本を読んでいて「また同じ内容か」と頭に浮かぶとすぐに眠気がやってくるのだ。もしこの事態をポジティブに捉えるならば、自分のなかに、つまらない本に対するオモロナイセンサーができたと思えば収穫なのかもしれん。あくびはすなわち脳からの危険信号であり、読書の即刻中断を要求している。

 

 自己啓発本で眠くなるなんて、私もいよいよ歳をとったものだ。絵本の読み聞かせで眠っていたピュアーなあの頃の私はもういない。