書くザトウクジラ

人類の幸せから、仕事の愚痴まで。

「限界集落に住む月収2万円の山奥ニート」をNHKが特番していた

 

先週NHKで放送されていたらしいので、過去の放送の再視聴ができるNHKプラスで観ました。

場所は和歌山県田辺市の「共生舎」というところ。最寄り駅から車で2時間のところにある。もはや最寄り駅ですらない。そこには男女10人程が暮らしている。つらい社会人時代を過ごしたり、生き方につまづいたりした人々が集まっていた。周囲で暮らす村民の方々は5人ほど。ご高齢の方ばかりだ。

所感を一言でいうと、山奥ニートというのだから、とんでもない世捨て人の集まりなのかという偏見があったが、実際の暮らしぶりを見ていると、全くそのようなことは無かった。

そこで暮らす漫画家志望の30代女性は、散歩中に漫画のことを考えたり、近所のおじいさんに話しかけたりするのが好きだそうだ。自然もあるし、鶏は毎日卵を生んでくれるし、ミツバチの巣があるし(ハチミツが採れる)とても自然体な生活を皆が営んでいた。

月収は2万円ほど。住居は廃校になった小学校を使用しているだけなので家賃は無し。インターネットも完備。食材の買出しは、近所にスーパーが無く、車で往復4時間かけて遠方まで出向くがそれも週に1度で事足りるらしい。

過去にひきこもりを経験していた居住者も現在は心を開き、毎日を自分なりの生き方で謳歌しているようだった。

以上、30分程度の番組だが発見が多く、最後には自分もこの身で体験してみたくなった。ただ、NHK以外にもメディア露出があるのか、入居希望の電話が後を絶たないという。なんと、いきなり玄関口まで見学希望として押しかけてきた若い女性もいたようだ。それだけ世間の注目度も上がっているということだろう。

先述した漫画家志望の30代女性は、同居人たちのことを次のように言う。

 

" 家族でもないし、友達でもない、不思議な距離感の人達です。”


過去に様々なことを経験してきた彼・彼女らだからこそ、集団生活であってもお互いに気を遣えるし、適度な距離感を知っているのだなと実感した。そうでもなければ、見ず知らず10名でのシェアハウスが実現するわけがない。なんとなく、これは自然と人とのふれあいのある場所だからこそ成し遂げられたことなのだと思う。


さらなる利点として、こうした限界集落は働き手が極端に少ない。和歌山のこの共生舎もその例外ではない。ご高齢の農家の方々と、山奥ニート。まさに両者にとってWINWINの関係が築かれているというわけだ。

ここまで書いて重要なことを一つ思い出した。先述したことに一つ付け加えたい。

限界集落とは、人、自然、それにインターネットである。インターネットがあるから、立地に左右されることなく、生活の不便なところをうまく補ってくれる。ときには娯楽にあり、ときには納税装置にもなる。

生き方は一つじゃない。これは今まさに様々な境遇におかれている現代人の背中を押してくれる良い番組だった。耳馴染みのない山奥ニートという生き方にどこか惹かれる自分がいた。

生きるために必要なぶんだけ稼いで生きる。これ以上ないほどシンプルで合理的。これが本当の新時代のミニマリストなのかもしれない