書くザトウクジラ

人類の幸せから、仕事の愚痴まで。

本を買うときは失敗を恐れてはいけない

 

 本を買うとき、とくに高価な本を買うとき、庶民の私はどうしても躊躇してしまう。単純に、内容がほんとうに面白いかどうかも気になってしまい、結局「買わない」という選択をするのだ。だが、本当にそれでいいのかと自問自答する。たかが一種の損得勘定で、運命を変えるかもしれない本との出会いを無にしてよいものか。そちらのほうがきっと損をしているのだ。いや損どころではない、大損にちがいない。人は面白い本があれば必ず読むわけではない。

 本1冊を手にとり、それを読むためには、自分と面白い本とさらに「本を面白む気持ち」「本を読みたいと思う気持ち」があって初めて読書という行為が開始される。そこに本と人があるだけでは読書はうまれない。

 そうかといって悲観することはない。たとえ読書にならなくたって、それは「失敗」ではない。自分にあう運命の本を、書店やAmazonで選んでいる時間もまた自分と向きあう重要な時間である。こころの声を聴く時間である。

 少なからず、本に関わっている時間というものはまったくムダではない。したがって、本を選ぶときというのはそもそも「失敗」が存在しないのである。