朝の通勤時間だけ開く本がある。それが村上春樹作品だ。彼の文体はたった1行読むだけでも、世界に没頭でき、瞬く間に魅了される。もちろん彼の描く世界観が大好きという大前提もあるのだが。影響を受けすぎて、朝から職場で話口調が、登場人物に寄ったりしてしまいそうになる。そのたびにいかんいかん、と我慢をする。時間限定読書はワクワクする。絶対に時間内に読みきれない、場所も限られるという制約がむしろ心地よく、もっともっとと興味を煽る。早くもあしたの朝が待ち遠しい。明日が刺激的で楽しみな日になる。本は、いや本だけが、それを可能にしてくれる。