書くザトウクジラ

人類の幸せから、仕事の愚痴まで。

夏休みがなくなって10年が経った

 

大学時代を最後に夏休みというものが完全にない。いわゆる人生最後のモラトリアムというやつだ。当初抱いていた、学生が終わり社会人へと移行するときの夏休み廃止に対する凄まじいほどの抵抗感がなつかしい。

 

思えば我々はずいぶん年をとってしまった。いまや夏休みが無いという環境に十二分に適応してしまった。時折襲われる。むなしい空虚感に。幻肢痛のようだ。

 

いまや楽しみは年2回のボーナスくらいになった。お金がなく時間がある頃の学生時代と、お金がそこそこあり時間がない現在の社会人時代。やはり、前者のほうが得られるものは大きいと思う。

 

ある程度お金があったところで、時間がなければ意味がない。行動範囲も大きく制限されている。時間>お金という動かぬ人間真理に、時間を失って初めて気づく。

 

若者は日本全国横断できるが、老者は単一空間に押し込まれるのみ。社会的責任、後戻りできないモラトリアムという名の手錠は思いの外重大であった。