脳が冴える15の習慣という本を読んでいる。学生時代に買った本だ。さすがにボロくなってきてる。ブックオフでは100円で棚に並んでいるのをよく見る。名著の成れの果てである。だけど今僕の手元にあるこの本は、間違いなく、同じだけ時間を歩んできた。無造作に置かれたアイツラとは全然違う。その安心感はさながらいつも変わらない寝床のようだ。しかも一度全体像を理解している内容なので、二度三度と読み進めるごとに読みやすくなっていく。その違いを実感する瞬間もまた楽しみの一つである。気心の知れた相手が言わんとしていることを、それとなく肌で感じる時のように。馴れ親しんだ本はまるで己の友のようだ。相手の言わんとすることが真に分かる。新しい本を読むときはワクワクするが、そのぶんエネルギーも使う。いっぽう古い本は新鮮味こそないが、一度感動した箇所であるなら、それは何度でも心の琴線に触れるもの。最近の僕はちょっぴり疲れ気味。そんなときこそ、気負わず気兼ねなく触れられる己の友とむきあうのだ。その友はコロナ下であっても左右されない。いつでもそこにいるし、いつでも門戸を開けて待ってくれている。自分がページを開きさえすれば。いつでも。